法律を知ろう

「学校に行くなんてあたりまえのことが出来なくてどうするんだ!」
祖父母からこんな言葉を投げられたことがあるかもしれません。
私達が「あたりまえ」「常識」と思っていることは本当にそうなのでしょうか?

ー常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションでしかないー アルベルト・アインシュタイン

「あたりまえ」「常識」と思っていたことも、「正確には違う」または「もう時代に合わない」「地域特有だった」ということが沢山あると思います。
まず基本として、法律にきちんと定められている教育のことや子どもの権利を知ることで、「あたりまえ」だと思いこんでいたことを見直してみませんか?

01義務教育の「義務」って?

〜憲法第26条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する〜
〜憲法第26条第2項 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ〜

つまり、義務を負うのは保護者が「普通教育を受けさせる」義務であり、子どもが「普通教育を受ける義務」ではない、ということです。
注目すべきは、上記法律の日付。

「日本国健保(条例抜粋)」は、昭和21年11月3日。
「第4条(義務教育)」は、昭和22年教育基本法制定時の規定の概要の中の第4条です。

戦後当時は、たとえ子どもが学びたいと思っていても、親の意志によって働きに出されたり、兄弟姉妹の世話をさせられたりして、教育の機会を奪われることも多かった時代でした。だからこそ、「親は子どもに教育を受けさせる義務がある」として、子どもの学ぶ権利を守ったのです。

不登校は、法律違反ではありません。
「子どもは学校に行くのが義務なんだ」という考えは間違いです。
子どもは「教育を受ける権利」を有しているのです。どこで、何を学ぶか、その選択の権利は子どもにあるのです。
残念ながら、学校の先生の中にも、この間違いを知らない方もいます。保護者である私達が学んで、子どもの権利を守りましょう。

参照:日本国憲法(条文抜粋) / 第4条 (義務教育)

02ご存知ですか?「教育機会確保法」

2017年に施行されたひとりひとりに合った学びの場を保証する新しい法律です。おおまかなポイントは

  • 辛い時は休むことが必要である
  • フリースクールや家庭などの多様な学び場を選択できる
  • 「学校復帰」ではなく「社会的自立」を目指す
  • 国・地方公共団体と民間の団体が協力・連携していく
  • 学校や地方公共団体は、子どもや親へ必要な情報を提供する

など、文字通り、どんな子に対しても教育の機会を確保していくための法律です。

「教育機会確保法」わかりやすい資料集

学校・行政の現状

「普通教育機会確保法」が国で策定されているにも関わらず、その詳細内容の浸透度合いは、各市町村・各学校・先生個人ごとに格差があります。
不登校児童生徒への支援の在り方について「不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではない」と明文化されていますが、学校・教育支援センター(旧適応指導教室)などにおいて、未だに学校復帰の圧力が強い方々が多数おられます。
県の教育委員会が浸透すべく奮闘してくれていますが、同時進行で、当事者である私達が、出会った担当者ひとりづつに、根気強く伝えていくことも必要です。
上記資料を積極的に活用して、子どもたちが堂々と多様な学びを選択出来るよう、意識の和をひろげていきたいですね。

03子どもの権利について知ろう

子どもの権利条約
1989年の国連総会で採択され、1990年に発効した条約で、すべての子どもが持っている権利を保障するためのものです。「命を守られ成長できること」「子どもにとって最もよいこと」「意見を表明し参加できること」「差別のないこと」という4つの原則と「生きる権利」「守られる権利」「育つ権利」「参加する権利」などすべての子どもがもつ権利を定めています。

参考:日本ユニセフ協会ホームページ

子どもの権利に関する条例
子どもの権利条例等を制定している自治体は、2022年4月現在で、全国に61団体あります。なかでも豊島区では、「豊島区子どもの権利に関する条例」パンフレットを、「一般向け」「マンガ版」「小学4から6年生向け学習パンフレット」の3種類用意しており、小学校で子どもたちが学んでいます。家庭や市民へもしっかり伝えられています。

参考:子どもの権利条約研究所内「子どもの権利条例等を制定する自治体一覧」

不登校の子どもの権利宣言
この権利宣言は、 フリースクールに通うメンバーが「子どもの権利条約」を学ぶ中で、不登校を経験した私たちからも思いを発信したい!と、“子どもの権利”と“不登校”をテーマに話し合いを重ね2009年8月に完成し、全国子ども交流合宿「ぱおぱお」で採択されたものです。「1教育への権利」「2学ぶ権利」「3学び・育ちのあり方を選ぶ権利」「4安心して休む権利」「5ありのままに生きる権利」など13の権利を宣言しています。不登校の子どもたち自身が、心無い言葉に傷つけられた経験を元に声を上げたもので、切実な思いが感じられます。

参考:フリースクール全国ネットワークのページ「不登校の子どもの権利宣言」八つ折りリーフレット(pdf)