居場所やフリースクールで
自分らしく過ごしていた子どもたちでも
中学の後半の頃には進学のことが気になり始めます。
勉強への不安が大きくなったりします。
親御さんも「この先どうなるのだろう?」と不安になると思います。
だからこそ、
子どもに先回りして提供するためではなく、
子どもが「高校に行きたい」と言った時に、
一緒に考える材料を持つために、
少し早めにいろいろ調べてみませんか?
高校の受験については、先生と子どもと保護者の三者面談で決めていきますが、
先生によっては、不登校の子や特性のある子の進学先について詳しくないこともあるようです。
親御さんがいろいろ調べてから先生に相談すると、先生もより親身になって考えてくださるかもしれません。
ここでは、不登校だったお子さんでも通いやすい高等学校についての情報をお届けします。
高等学校の種類
「高校」とひとことに言っても、現在は、通い方や内容などにいくつか種類があります。
その違いと 、該当する県立高校をご紹介します。
種類 | 特色 |
全日制高校 | 通常の時間帯において授業を行います。 |
定時制高校 | 夜間、その他、特別の時間、又は時期において授業を行います。 生活スタイルに合わせて通学時間を選ぶことができます。 |
通信制高校 | 課題の添削指導(レポート)、面接指導(スクーリング)、試験(テスト)、インターネット等のメディアを活用した指導など通信による教育を行います。 |
特別支援学校 | 心身に障害のある児童・生徒が通う学校で、幼稚部・小学部・中学部・高等部があります。 |
高等専門学校(国立) | 社会が必要とする技術者を養成するため、中学校の卒業生を受け入れ、5年間(商船高専は5年半)の一貫教育を行います。 |
専修学校(私立) | 調理や美容、看護など実践的な職業教育、専門的な技術教育を行います。 |
各学校の詳しい情報は↓
茨城県教育委員会ー県立高校検索
茨城県教育委員会ー私立高等学校一覧
ハイスクールebooks
茨城県内の高校を、県立・私立も含めた一覧・エリア別・学科別に検索出来ます。各学校のパンフレットが一覧で選べ、ネット上で読むことが出来ます。各校の情報はこちらからご覧ください。
県立高校への進学
入試のしくみ
入試=「県立高等学校入学者選抜」は、まず大きく分けて「共通選抜」と「特色選抜」があります。
「特色選抜」は文化・芸術及び体育、奉仕活動及び生徒会活動のいずれかの分野において優れた資質・実績がある人を対象とする選抜です。
「共通選抜」は学力検査と調査等で選抜します。
この「共通選抜」は、「A群」「B群」の2段階で合格者を決定しています。
共通選抜:選抜の流れ
1. A群選抜:入学定員のうち、学力検査と調査書等により定員の80%以内の合格者を決定します。
2. B群選抜:残りの定員に対して、学力検査重視・調査書重視の2つの方法を使って合格者を決定します。
B群選抜での、学力検査重視・調査書重視の人数比率は
各高校が20:80~80:20の間で決定します。
実施校・実施内容の詳細については、茨城県教育委員会のホームページをご確認ください。
不登校の子の場合
中学校に1日も出席していなくても、通知表がオール1または斜線表記の場合でも、進学をあきらめる必要はありません。
茨城県では、不登校だったお子さんも、出席日数や調査書の影響の比重が少ないB群選抜枠により合格するチャンスを得やすくなっています。
とはいえ、もし何か心配なことがあったり配慮を必要とする場合には、
まずは子どもの状況や希望を高校側へ丁寧に伝え、相談してみてください。
例えば
受験に際し、
- 感覚の過敏さや不安感で、一般教室での受験がしにくい
- LD(学習障害)等により通常の試験用紙や解答方法が難しい
- どのような対応が可能なのか?
あわせて、入学後
- 教室で過ごしづらいときの別室があるか?
- 学校にカウンセラーがいるか?
- 登校しにくい時の単位や試験の対応があるか?
などを聞くと良いと思います。
また、不登校等及び障害があることにより不利益な取扱いをすることがないようにするための手続きもあります。
障害のある受検者等の取扱い
通常の学力検査の方法では受検が困難と認める者について、
茨城県教育委員会と協議の上、
検査方法、検査時間及び検査場等について適切な措置を講じる。
提出書類:障害のある受検者等に対する特別措置申請書
自己申告書の提出
欠席が多いことの事情や障害のあることによって生ずることがら等について、
説明する必要がある場合、提出することができる。
提出書類:自己申告書
詳細については、茨城県教育委員会のホームページをご確認ください。
入学後の不登校への対応について
高校生になると学校への行き辛さや特性に対して、サポート体制が整っていない学校が多いです。
高校は義務教育と違い、出席日数や単位が進級や卒業に大きく関わってくるので、どんなことでも、まずは学校に相談すること、一人で悩まずに、なるべく早い段階で相談することが大切です。
入学後に不登校になった場合の学校の対応について、高校教育課の方に伺いました。
茨城県教育庁高校教育課では、全ての県立高校に対して
「欠席については、その子その子の背景に基づいた柔軟な対応を。最大限の配慮を。」
と求めています。
出席日数が心配な場合は早めに担任に相談しておくことで、担任が各教科担当と連携し、各教科単位数をおよそ計算して、危なくなる前に事前に教えてくれる事例があります。
学年主任にも相談しておくと、担任と一緒に全体を見て対応してくれます。
また、起立性調節障害や適応障害など特別な事情があり出席が難しく単位が足りなくなる可能性がある場合は、医師の診断書をもとに、欠席日数への緩和措置が行われる事例もあります。
その他、オンライン授業支援や別室登校なども可能です。
こうした「柔軟な対応・最大限の配慮」の具体策は、各高校で柔軟に対応できることになっています。まだまだ各学校現場や各教員まで十分に浸透していないかもしれませんが、ぜひ、茨城県ではこうした考えに基づいているということを知り、学校とも早め早めに相談・連携をしていってください。困った場合は、県高校教育課の生徒支援・いじめ対策推進担当に相談もできます。
また、公立学校では合理的配慮を行うことが法的に義務付けられていますので、学校もお子さんの状況や心配事を知っておくことで早めに対応してくれます。
合理的配慮とは
障害者の権利に関する条約 第2条
合理的配慮とは、障害者が他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を享受し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。
茨城県は、私学へも合理的配慮や不登校支援に取り組む高校への補助金を始めており、今後理解と支援が進んでいくことに期待したいです。
●文部科学省:「高等学校における不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の対応について」
「不登校生徒が学校外の施設において相談・指導を受けるとき、下記の要件を満たすとともに、当該施設への通所又は入所が、不登校生徒の将来的な社会的自立を助ける上で有効・適切であると判断される場合に、当該生徒の在籍校の校長(以下「校長」という。)は指導要録上出席扱いとすることができる」「当該施設は、教育委員会等が設置する適応指導教室等の公的機関とするが、公的機関での指導の機会が得られないあるいは公的機関に通うことが困難な場合で本人や保護者の希望もあり適切と判断される場合は、民間の相談・指導施設も考慮されてよい」
とありますが、今のところ茨城県内では高校生も通える適応指導教室はなく、民間フリースクールで出席扱いにしている高校も残念ながらないようです。
詳細については、茨城県教育委員会のホームページをご確認ください。
私立高校への進学
全日制高校
配慮が必要な生徒への対応は学校ごとに異なります。詳しくは各学校のホームページや学校案内等でご確認いただくか、直接お問い合わせください。
高等課程を持つ専修学校
私立の高等課程を持つ専修学校は県内に6校あります。
高等専修学校とは
高等専修学校は、中学校卒業後に進学できる専門学校で、職業に必要な技能や知識を提供しています。高校のカリキュラムに加え、デザイン、情報技術、調理、美容、福祉など実践的な教育を行い、実習やインターンシップを重視します。
修了後は高校卒業と同等の資格を得て、就職や専門学校、大学への進学が可能です。高校進学を希望しない中学生や再教育を求める社会人にとって、有益な進学先となります。
しかし、多くの高等専修学校は技能連携制度により、通信制高校などと連携した「技能連携校」になっています。
卒業すると高等専修学校と高等学校の2つの卒業資格が取得できます。
技能連携制度では全履修単位の2分の1以内で、技能連携施設での学習を高校での教科履修とみなすことができます。
不登校の生徒の入学にも積極的な高等専修学校
学校案内や教育方針の中に不登校に対する対応について明記し、対応していることが確認出来ている学校は、以下の1校です。
(入試方法は、下記ホームページでご確認ください。)

面倒見のいい学校>中学校の時に不登校ぎみで遅刻や欠席が多いのですが大丈夫ですか?
こちらは専修学校ですが、不登校の子も比較的通いやすい学校です。
水戸南高等学校技能連携校のため、専修学校と県立高校の2つを同時に卒業することができます。
他に該当する学校があった場合は、調べて確認ができ次第順次掲載していきたいと思います。
通信制高校
私立の通信制高校は県内に13校あります。通信制高校とは、通信による教育を行う学校です。
通信制高校への進学を考える時に出会う言葉や仕組みについてご紹介します。
卒業するためには、
などの要件を満たす必要があり、その他、卒業するためには特別活動の参加も必要です。
3年以上の在籍
入学から3年以上、通信制高校に在籍しなければなりません。3年以上という期間には、転校や編入の場合は、前の学校での在籍期間も加算されます。
個々の状況によって、敢えて4年間かけて卒業を目指す生徒も珍しくはありません。
74単位以上の単位の修得
3年で卒業する場合、例えば、
1年目に25単位+2年目に25単位+3年目に24単位=計74単位
という具合に履修することができます。
履修する科目には必修科目、選択必修科目、選択科目があり履修する科目を選ぶことができます。
といっても、一人で決めるわけではなく、入学時や年度末などに履修相談の機会が設けられ担当の先生と相談して決めることができます。
添削課題(レポート)
添削課題が用紙の場合は自宅や学校、サポート校を通じて配られます。WEBの場合は学校の学習システムにアップロードされます。
提出は用紙の場合は学校やサポート校へ持参したり、郵送で提出することができます。WEBの場合は学習システムから提出できます。
内容は各科目の学習課題です。各科目の単位数に応じて課題の量はきめられており、期限までに提出する必要があります。
これはテストではないので、教科書やネットで調べたり、通信制高校やサポート校の先生、おうちの人に相談しながら取り組むことができます。
学校が定めた合格点よりも、点数が低い場合は再提出になることがあり、基本的に提出期限に合格できない場合は単位が取れなくなります。
レポートが用紙の学校でも、書字が苦手な場合は相談するとPCからの提出をサポートしてくれることがあります。子ども(自分)に合っていると思える学校が見つかったら必ず確認しましょう。
面接指導(スクーリング)
内容は各学校が生徒の実態や教科、科目の特質によって決めます。授業や実験、実習をする学校、個別指導のようなスタイルでレポートを解説する学校もあります。
面接指導の時間数は科目の単位数によって違いがあります。理科や外国語、体育のような実験や実習、演習のある科目は時間数が多くなっています。

ただし、時間数はメディア視聴の報告により減免されることがあります。減免は既定の時間数の10分の6、あるいは条件により最大で10分の8までとなっています。どの学校も全て同じように減免するとは限らないので、入学を検討する場合は事前にご確認ください。
既定の時間数のスクーリングに参加しなかった場合は、単位修得はできません。
大勢いる教室に入れない方はスクーリングの参加は難しいと考えるかもしれません。完全個別は難しいですが、生徒数の少ない学校を選んだり、時期によってスクーリングの参加人数にばらつきがある場合もあるので、入学前の説明会などで確認しましょう。
また、これ以外の方法で教室が苦手な生徒への対応をとる学校もあると思いますので、相談すると思わぬ方法が見つかるかもしれません。
単位認定試験
各科目ごとに試験があります。合格できない場合は単位が取れなくなります。不合格になっても追試をしてくれる学校もあります。
テストの時に教科書を持ち込める学校もあります。入学前に確認しておくとよいですね。
通信制高校とサポート校の関係
通信制高校は全日制課程・単位制課程・定時制課程と並ぶ通信制課程の高校です。
多くの通信制高校は通信制と単位制の両方を取っています。
サポート校は、主に通信制高校の生徒に対して学習や進路相談などのサポートを行う施設です。
通信制高校が直接運営するキャンパスもサポート校の一種と考えるとわかりやすいと思います。
共通することは、どちらもスクーリング会場でスクーリングを受ける必要があり、毎日通ってもスクーリングに出席したことにはなりません。しかし、いつもの慣れた仲間や先生と一緒に会場まで行って、参加できるのは心強いことです。
サポート校を利用する意味
不登校や学習に不安のある生徒向けのサポート校なら、自分のペースで登校して学べたり、一人一人の状況に合わせた学習サポートが受けられるなどのメリットがあります。出席日数もスクーリングに出席できれば問題ありません。
また、学校行事として遠足や球技大会などのイベント、クラブ活動などを楽しめるサポート校や、英語やITなどの専門的な学習に特化しているサポート校など特長は様々です。
多くのサポート校は1つ以上の通信制高校と連携しており、サポート校を通して通信制高校に入学することもできます。
お子さんによっては、対人関係が苦手でネットコースのある通信制高校などに入学したものの、やっぱり通学したいというケースもあります。全てのサポート校が同じではありませんが、受け入れてくれるサポート校もあります。
いろいろな生徒がいます
通信制高校やサポート校には中学を卒業してすぐに入学する生徒もいれば、働きながら学んでいる生徒もいます。不登校経験のある生徒もいれば、プロのスポーツ選手、アーティスト、芸能人など様々です。
学費について
基本的に入学金、単位履修料、施設費、教育拡充費などがかかります。
通学コースや進学指導を受ける場合、別途、費用が掛かる場合がほとんどです。
高等学校等就学支援金は通信制高校の単位履修料にのみ適用され、それ以外には適用されません。
サポート校は通信制高校とサポート校の両方の料金が必要になりますので、通信制高校のみよりも高額になると考えられがちですが、実は通信制高校の通学コースや進学コースに入ると別途コース費用が掛かり、サポート校に入るのとそれほど変わりません。利用の仕方によっては安くなることもあります。
新入学・転入・編入について
全日制高校から通信制高校に転入するケースは珍しくはありません。定時制高校からあるいは、通信制高校から通信制高校への転入する生徒もいます。
多くの通信制高校が4月と10月に入学、編入の制度を取り入れています。
転入に関しては随時という学校が多いですが、学校によって12月1日付けまで1月1日付けまでという締め切りはもうけられている場合もあります。
新入学は、中学校を卒業して通信制高校に入学すること。
転入は、在籍している高校から通信制の高校に入学すること。
空白期間がないので、基本的に卒業は遅れません。
編入は、学校を退学している場合を言い、編入できる時期が学校によって決まっています。
高校在籍の期間に空白ができる場合は、卒業できる時期は18歳の9月末より先になります。
転入・編入を検討する際には残り、何年で卒業できるかを確認しましょう。
単位数
年間で取得できる単位数の上限は学校によって違いがあります。
単位の引継ぎ
転入・編入を考えた時、修得単位数や在籍期間を活かすことができます。
全日制高校の1年生は単位を修得していないので、年度の途中での転入については引き継げる単位はありません。
全日制高校の2年生は1年生の時におよそ30単位ほど修得済みで、これを引き継いで通信制高校では残り44単位を2年以上かけて履修するようになります。
全日制高校の3年生は1、2年生の時におよそ60単位ほど修得済みで、これを引き継いで通信制高校では残り14単位を1年以上かけて履修するようになります。
上記はおおよそですので、実際と差はあると思います。詳しくは在籍校にお問い合わせください。
工業高校や商業高校で修得済みの専門科目の単位は、20単位程度までは認められるケースが多いです。しかし、全日制高校で修得するそもそもが通信制高校より多いので、卒業が遅れるほどになるケースは少ないと言えます。
単位を落としたらどうなるの?
何らかの理由で単位を落とした場合、翌年取り直す必要があります。1年次か2年次に数科目であれば落としても翌年以降に取り直すことで卒業は遅れませんが、卒業予定年次に単位を落とした場合は卒業が遅れます。
また、落とした分の単位は修学支援金の対象外です。
私立の各学校の詳しい情報


茨城県教育委員会
ハイスクールガイド:私立高等学校(全日制、通信制・単位制)
高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)
高校には行かずに、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があるかどうかを認定するための試験です。
試験の合格者は大学、短大、専門学校の受験、就職や各種の資格試験等においても活用することができます。
但し、この試験に合格しても進学しない場合は最終学歴は「中学校卒業」となります。
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